冷たい風
でも
陽ざしは春めいてまいりましたね
【予告しておきながら】
3月の朗読のための選書をご紹介いたします
と
以前予告しておきながら
そのままになっておりました
本日は
比較的取組みやすい朗読作品をひとつ
ご紹介いたしましょう
【取組みやすいって?】
簡単な作品
と申しますと
少し誤解が生じますでしょうか
言い換えますと
・お客さまに喜んでいただける要素が多分にあり
なおかつ
・朗読する側が気負いなく読める長尺作品である
と申し上げておきましょう
【お客さまに喜んでいただける要素って?】
ま いろいろございますが
・朗読会開催時期と合致した季節感
これは素直にお客さまに共感いただけますね
・言葉が難しすぎない
耳だけで物語を楽しむにはこれが大切!
・何かしらの郷愁を呼ぶもの
例えば 家族とのつながりや若い頃の感覚
他にもございますが
それは
さーかす書房朗読講座で是非!
【取組みやすい長尺】
具体的に申しますと
・「青空文庫」からのプリントアウトならば本文が3頁前後
・つまり朗読時間が10分前後でおさまる作品
と言うことでしょうか
内容把握のために
全文を読むのでございますが
この際
さほどおっくにならない長さ(読む量)
と言うことです
【登場人物が少なく かつセリフのかけあいがある】
あと付け加えますと
登場人物が少ない
と言うのも大きなポイントですね
なおかつ セリフがある程度の量がある
セリフはお客様を退屈させない面白さがあり
登場キャラが少なければ
朗読する側は
セリフの読みわけが容易くなります
【小川未明は大人向け?】
日本のアンデルセン
と呼ばれる小川未明
アンデルセンとの共通点はいくつかございますが
その一つは
・全くの子ども向け読物というよりは
読後感が複雑に感慨深いものが多い
単純明快な結末
例えば
単に「あー よかったよかった」
ではなく
なんとなく
「どうなのかなー」と
ついつい考えてしまう
と申しましょうか
こんな点が
朗読会あとも お客様同士のはなしのタネになると申しますか
ちょっと盛上ったりするのですね
大人も十二分に楽しめる児童書と言えるでしょう
と言うことで…
【小川未明『春がくる前』】
青空文庫掲載です
プリントアウトいたしますと本文3頁ほど
これくらいですと
内容把握のための読みも気楽にできますね
で
朗読も抜粋にせず
全文朗読ができますよ
お客様に共感いただくには
全文朗読がおススメです
【共感どころは?】
つまり ここが作品読解
と言うことになります
読解が違えば
作品のとらえ方が違ってくるワケですし
読み方(朗読)に微妙な差が出てきます
自ずと聴こえ方も違ってくる
と言うワケでございますね
が 読解がムズカシイのは
とらえ方は人それぞれ
ってことです
ご自身のとらえ方は大事にとっておいて
ほんの少し
違った視点での見え方を知ると
案外 表現のヒントになったりしますよ
【かわいいものが登場するストリーは特に注意!】
小川未明に限らず
児童書を朗読する場合
これは絵本にも共通いたしますが
登場するのが
すこぶるかわいらしいものであったりします
するとついつい
かわいらしく読み通してしまうんですね
でも作品のポイントは
はたしてかわいらしさだけ?
…ではありませんよね
作者が伝えたいことは
ほかのことであったりしますよ
なので
ただただかわいく読んでしまうと
大人も楽しめる
と言った要素が消えてしまうのですね
【共感のしどころをつかめば的確なプロミネンス】
では 再び
小川未明の小品
『春がくる前』
の 読みどころ・聴きどころは?
・登場するのは大木とまだ若いうぐいす
大木と小動物 はよくある物語の組合せですね
それぞれの役どころは?
大木は
年を重ね経験も知識もたっぷりと蓄えた思慮深き知恵者
幼き人・若者を温かく見守り導く役割になっています
若いうぐいす
これから人生が始まる若者
わからないこともたくさんあり
いくつかの不安もあるものの
輝くばかりの若さと未知への希望があります
うぐいすを演じるうえで大切なポイントは
母親を亡くした
と言うことです
悲しい出来事です
が
ここからうぐいすの新しい道が開けていきます
・春がくる前
春は人生の始まり
ととらえても良いでしょう
母親と仲睦まじく
何の不足もなく暮らしていたうぐいす
ですが
母親の死によって考えるワケですね
母親は常々子うぐいすに言いました
町へは絶対に行くのではない
おそろしいところだ
実際 ここへ二度と戻れなかった仲間がいく羽もいるのだと
子うぐいすも
それに逆らうことはなかったけれども
母親がなくなった今
自身で確かめようと考えたのです
町がどんなところか?
この心境
たいへんにリアリティがあります
親に不服があったわけではない
むしろ幸せだった
でも 庇護してくれていた存在が消えた時
ふと思うんですねぇ
どうなのかなと
そしてこれからの自分
を今までよりは真剣に考えます
・再び「大木」の役割
大木は うぐいすのチャレンジを静かに聞いてやります
そして おおかたの結末は既にわかっているけれども
あえて
「行っておいで」と見送るのですね
ここがいいのですねぇ
わかっているからって
やみくもに引き留めたりしない
それは 今 子うぐいすと話して
その聡明さを感じ 信じたからでしょう
また 人生のはじまりに対する祝福でもありましょう
だから
「行ってらっしゃい」と見送る
これは大人として なかなか勇気ある判断ですね
でも この一言を加えます
「再び この枝に戻って来て 町のはなしを聞かせておくれ」
道を違えないように
帰る理由をつくってやるのですね
・待つ と言うこと
この後
うぐいすは飛び立ち 町のあらゆるものを見聞きします
大木は うぐいすの帰りを今か今かと待ち続けます
・見聞した後の選択
うぐいすは 再び大木のもとへ帰ってきます
町でいろいろ見たけれども
やはり母親と暮らした藪がわたしには好もしい
と言うのです
ここが大切ですね
何も知らないでそのままでいる
のではないのですね
知ることで判断した と言うことです
そして 一声鳴いて飛び立ちます
その若々しいさえずりが
野に春を呼び
大木もまた新しい力がみなぎるのですね
【うぐいすの練習】
ほんの少し前まで
若いうぐいすが歌う練習を我が家の裏庭で聞くことができました
それは 初々しいものです
まぁ 何と上手に歌えるようになった!
と思うと どこかに行ってしまいます
家の周りの環境がすっかり変わってしまって
私の庭を訪れることもなくなりました

懐かしいですねぇ
そんなうぐいすの歌声を思い出しながら
朗読したいと思っていますよ
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