【朗読のための本棚
あなたの声と拍手のために】
案外気楽に使えない素材【昔話】
【古いけど著作権アリ】
――昔話朗読が、気楽にできない理由
昔話って、
なんとなく「自由に読めるもの」だと思っていませんか。
たしかに物語そのものは古く、
長い年月をかけて語り継がれてきたものです。
けれど実際には、
そう単純ではありません。
■「話」は古い。でも「文章」は新しい
昔話には、
それを収集し、再話し、文章として整えた人がいます。
たとえば 松谷みよ子 の仕事は、
まさにその代表例です。
語り継がれてきた話を、
読むに耐える文章へと編み直す。
その時点で、
そこには「著作物」としての権利が生まれます。
つまり――
昔話であっても、自由に朗読できるとは限らないのです。
■だから、昔話朗読はむずかしい
いざ演目を探し始めると、
すぐに壁にぶつかります。
・著作権の問題
・ちょうどよい文章が見つからない
・語りの味わいと読みやすさのバランス
「昔話ならいくらでもある」どころか、
“読みたい一作”に辿り着くのが難しいジャンルです。
素朴でやさしい世界のはずなのに、
案外、気楽には読めない。
これが昔話朗読の実感です。
■【実例】少し変わった昔話の探し方
そこで、ひとつ。
私のとっておきのノウハウをお伝えします。
使うのは、たった二つのサイトです。
・YouTube の
【公式】まんが日本昔ばなし(チャンネル)
・国立国会図書館デジタルコレクション
① まず「タイトル」を知る
【まんが日本昔ばなし】では、
数多くの昔話が映像化されています。
ここでまず、
「こんな話があったのか」というタイトルの種を拾います。
② 次に「全文検索」で探す
そのタイトルを手がかりに、
国立国会図書館デジタルコレクションで検索します。
ここで活躍するのが、
全文検索機能です。
膨大な資料の中から、
該当する語を含む作品を一気に拾い上げてくれます。
■コツは「全部入れない」こと
ここがいちばん大事なポイントです。
タイトルを――
そのまま全部入力しない。
昔話は口伝の文化です。
・地域によって名前が違う
・似た話が複数存在する
・微妙に言い回しが異なる
そのため、完全一致で探すと
むしろ見つからなくなります。
おすすめは、
核になる言葉だけを短く入れること。
たとえば一語、二語。
余白を持たせることで、
思いがけず目当ての物語に出会えることがあります。
■昔話は「語り手」で変わる
昔話は、
もともと“語り手がいて成立する物語”です。
つまり――
細部はかなり曖昧(ファジー)なジャンルです。
語り手が変われば、
言葉も、間も、余韻も変わる。
もっと言えば、
語り手の思い入れそのものが、物語のニュアンスを決めてしまうのです。
■本になった瞬間、物語は「整えられる」
そうした昔話を収集し、
文章としてまとめたものが書籍です。
そこでは、
語りの揺らぎが整理され、
読みやすく、洗練された形へと整えられています。
だからこそ――
私たちが現代の本で出会う昔話は、
すでに“完成された一つのかたち”なのです。
■同じものは、どこにもない
問題はここからです。
その「完成された昔話」と
まったく同じものを、
著作権フリーの資料から探そうとしても――
まず見つかりません。
なぜなら、もともと昔話は
ひとつに定まらない物語だからです。
似ている話はあっても、
同じ言葉、同じ構成、同じ余韻にはならない。
このズレこそが、
昔話選書の難しさです。
■最後は「選ぶ力」に戻ってくる
結局のところ、
一覧の中から
どの一作を選ぶのか。
どの語り口を採るのか。
どの余韻を、自分の声に乗せるのか。
――そこに残るのは、技術ではなく
あなたの朗読センスです。

記載記事はオリジナルです 無断での転載・ご利用はご遠慮ください