さーかす書房 拍手のための朗読再考

リアル朗読会を成功に導く戦略

セリフは設定力が決め手

シリーズ

【朗読*ちょっと不都合な真実】

字のない絵本で試してみよう!

 

朗読講座を開催しています。

そこで気づいたこと。

それは、朗読読み手は、

セリフが得意な人とそうでない人に分類できると言うことです。

以前も当ブログで

「練習しても上達が望めないのはせりふである」と書きました⇩

circus-shobou.hateblo.jp

今回はもう少し踏み込んで、

セリフが上手い人の共通項 です。

その共通項とは、

「状況を設定する力」です。


いくつもの「ありがとう」

さーかす書房朗読講座では、

セリフのトレーニングとして、こんなことをします。

例えば、

「ありがとう」

という言葉。

誰もが知っている、感謝を表す言葉です。

では、

この「ありがとう」を、いろいろな状況で言ってみましょう。

例えば

  1. 心から感謝を込めて「ありがとう」
  2. 「有難迷惑なんだよ」という心のつぶやきが聞こえるように「ありがとう」
  3. 命の恩人に、危機一髪を救ってもらったときの「ありがとう」
  4. 素直になれず、照れくさそうに「ありがとう」
  5. 幼い子がしてくれたことを、ねぎらい、ほめるように「ありがとう」

同じ「ありがとう」ですが、ずいぶん違います。

もちろん、ほかにもいくらでも設定できますね。

「別れ際のありがとう」

「本当は怒っているけれど、ありがとうと言わなければならない場面」

「涙をこらえながらのありがとう」……などなど。

どんな5パターンでもよいのですが、

ひとまず5パターンほどを実際に演じてみましょう。

ごくシンプルな作業ですが、

セリフが得意かどうかが、かなり明確に知ることができます。


でも、本当に大切なのは、その先

しかし本当に大切なのは、ここから一歩先なのです。

上記のような条件、設定をご自身で考え出すことができるかどうか。

それが最も大切な物差しです。

条件を提示されれば、

上手い下手の幅はあるにせよ、

なんとかそれらしい表現ができるものです。

ところが、

「では、あなた自身で『ありがとう』の状況を5つ考えてください」

となると、ハタと困る。

何にも出てこない。

ここで、かなりの人が脱落してしまいます。

つまり、

与えられれば出来る

では少々不足。

自身で設定できればかなり有望です。


「設定できる人」とは?

では「設定できる人」の特徴は?

それはいろいろな要因があるでしょうが、

一つ言えることは、

経験値が高い、と言うことです。

豊かな体験が、空想力の素地となってくれるからです。

ただ素地となるには、

体験したことを言語化できるのかどうかも大切なポイントです。

セリフは技術だけではどうにもならない領域があるのです。

練習量が気持ちよく反映してくれない分野です。

設定ができる人は、

たとえ今は表現技術が未熟でも、伸びしろがあります。

実際、そのような上達を間近で拝見する時が、

私が講座を開催してたいへんに幸せを感じる瞬間であります。


 

「いきなり言われても」はタブー

こういう練習をすると、こうおっしゃるのです。

「いきなりそんなことを言われても……」

「もう少し考える時間があればできるんです……」

でも、「いきなり」が大切なのです。

即興で出来るか否か?

即席にともかく何かしらのことができる、

と言うのは、

その人の中にたくさんの引き出しがあると言うことでもあるのです。

たくさんの引き出しを持ち、

なおかつその中から引っ張り出す力がある。

これは、朗読読み手にとっては大きな強みです。

朗読は、

「家で一人、じっくり時間をかけて練習するもの」

と思われがちですが、瞬発力も大切な要素です。


地の文とセリフは、別物

朗読では、地の文は鍛錬によって上達します。

上達の速度は違いますが。

発声、滑舌、アクセントなど、

練習すれば克服できる分野です。

が、セリフは少し違うジャンルなのです。

それは前述のとおりです。

ただ、

「セリフが苦手なら、朗読をあきらめましょう」

ということでは全くありません。

セリフがない作品は探せばたくさんあります。


自分に合った選書とは

選書については、朗読のためのと言うことですが、

もう一つのシリーズ、

【朗読のための本棚】あなたの声と拍手のために

でも、ずいぶん書いて参りました。

自分に適した選書となると、つい、

「自分の好きなジャンル」

「自分の声に合った作品」

となりがちです。

もちろんそれも、有効で大切な視点です。

が、もう一つ物差しがあります。

自分のセリフ力に合った作品を選ぶ。

選書する力は、

朗読を長く続けるには必須ですね。


もう一つの試金石――文のない絵本

セリフが得意かどうか。

これを試す、もう一つの方法があります。

文のない絵本が試金石になってくれます。

字のない絵本と言えば、

ガブリエル・バンサン『アンジュール』でしょうか?

描かれているのは絵だけ。

絵のみで、刻々と物語が展開していきます。

この絵本で、読み聞かせができますか?

かなりの即興力が求められる作業ですね。

 


もたもたしても、最後まで物語にできる人

スムーズに何のミスなく完璧に読む必要はないのです。

言葉に詰まってもいいのです。

「えーっと……」となってもいい。

途中でもたもたしてもいい。

それでも、

最後まで物語を完結させることができる。

それが大切です。

それが出来たなら、

あなたは朗読の読み手として、とても有望です。

経験に裏打ちされた空想力の賜物だからです。

朗読読み手にとっては大きな強みです。


朗読は「読む」だけではない

朗読は読む作業ですが、

実は読む以前のところが案外ポイントだったりするのですね。

表現に迷ったら、

ちょっと立ち止まって、

ご自身の日常、身の回りで見聞きしたことを

思い出してみてください。

必ずヒントがあります。

きっとあなたの中にも、

幾通りもの「ありがとう」があるはず。

それをいっしょに、探ってみましょう。

さーかす書房朗読講座は、

きっとよいお手伝いができると思います。

 

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これも字のない絵本です。
絵本ですが、かなりの厚み。
見開き右側に絵、左側は全くの白紙です。
先日の下賀茂神社古本まつりで見つけました。
只今展示しています。
あなたの物語、お聞かせくださいね。