さーかす書房 拍手のための朗読再考

リアル朗読会を成功に導く戦略

怪談『円朝の牡丹燈籠』で考えてみよう!

怪談は人情噺

庭 つわぶきに落ちた柿の実

概論的なことを最初にいくつかおしゃべり致しました方がよろしいのかも知れませんが

あまり面白くございませんね

 

夏でございますので

怪談を読むならば と言うお題で

田中貢太郎作品の

円朝の牡丹燈籠』で実践的にとらえて参りましょう

もちろん青空文庫掲載作品 つまり著作権フリーでございますね

日本三大怪談 全てお答えください

四谷怪談 いわゆる お岩さん でございますね

■番町皿屋敷

そして本日お題の

■牡丹燈籠

ハイ ご名答!

 

三大に数えられております通り

非常に有名なおはなしでございます

通常 わたくしが選書(朗読のための)ルールでは

有名過ぎる作品は避けるのでございます

(理由はまたの機会におはなしすると致しまして)

が はなしがたいへんにうまく構成されておりますので

何度聴いても なかなかによいものでございます

 

円朝の とあります様に

これは もともと落語家の祖と言われております三遊亭圓朝

中国の古典から想を得まして語られたおはなしでございますね

今で申せば 創作落語

圓朝のあまりの才能に妬みました諸先輩方しいてはお師匠さんまでが

寄席で圓朝が演じます予定のはなしをとってしまわれること度々

そこで誰も演じられぬように創作に打ち込んだと言うことでございますが

ともかく 今でも尊敬の念を込めて「大圓朝」と呼ばれる方でございます

ので 怪談の名手:田中貢太郎も大いなるリスペクトで

圓朝の』としたのでございましょう

 

さてさて前置きはここまでといたしまして

怪談をどう読むか(朗読)

 

いろいろな読み方・表現がございます

それぞれを否定するのではございません

あくまでも さーかす書房が読むならば

と言うことでご了承ください

 

まず 怪談だからって

タイトル・作家名から

おどろおどろしい声で読むのではございませんよ

なぜか?

「怪談」と言う大きなひとくくりの一大ジャンルではございますが

怪談は人情噺の最たるものでございますれば

講談師:桃川如燕(ももかわじょえん)がこうおっしゃっております

「幽霊も所以なくして出るものでは御座いません、

幽霊になるべき譯があって、

幽霊に相成ります、」

桃川如燕 講演 『実説怪談百物語』国華堂,明43.4.

国立国会図書館デジタルコレクション より

 

朗読で語るべきはまさにここなのでございますね

ただただおそろしく おぞましく きたならしく

ではなく

何ゆえに そこまでの恨みが積もりましたものやら

朗読会のお客様に思いを馳せて頂く

化けて出るなんて言うのは よい方法ではないが

「そうか そうか そうまでになったのには

さぞかし辛かったことがあったのだ」

と 共感していただかないことには

怪談のおもしろさは伝わらないのでございます

でございますので

最初から 恐ろしい おぞましい

ではないのでございますね

真の恐怖と言うのは

見慣れた情景・表情が

ある時ふと何とも知れない違和感を感じさせるところから

始まるのでありますから

ので 出だしはごく何気ない感じで読みだすのが

かえって効果があるのでございます

では どのあたりからお客様に

「あれ・・・・?」と違和感を感じていただくか?

 

ちょっと長くなりましたので

つづきは次回といたします

最後までお読みいただき ありがとうございました!

 

*この記事はオリジナルです 無駄での使用や転載はご遠慮ください