朝刊をポストから抜き取った途端
バサッ!バサバサ!!!
と頭すぐ上で大きな羽音
思わず
「ぎゃっ!」と
雄たけびとも悲鳴ともつかない声が出た
朝のぼんやりが一気にふっとんだ
あまりの大きな羽音に
大鷲かバケモン的なカラスかと思って
仰ぎ見ると
枯草をくわえた山鳩だった
と思う間に
今度は左手から大きな羽音
巣で恐怖をこらえていた女鳩が
堪えきれずに飛び立ったらしい
どうやら
エセ門かぶりの松の木に
営巣しているらしかった
ここ数年
幾度となく
山鳩夫婦の営巣をあきらめてもらっている
鳩はフン害がどうもスゴイらしい
と言うことで
遊びに来るくらいは放っているが
山鳩は夫婦仲がよいのか
いつも2羽でやって来る
子育てはかなわんのです
けなげに巣の資材を運ぶ男鳩の姿や
安心しきった様子で
巣で待つ女鳩の様子を見ると
情がうつります
が
卵を産む前に
女鳩が巣を離れたすきに
作りかけの巣を
そっとどけて
諦めてもらうようにしています
裏の柿の木
表の歩道際のカイヅカ
が気に入りのようで
その年はどこかへすんなりと引っ越してくれますが
また年が変わるとやって来るのです
山鳩に限らず
様々な鳥が羽を休める
これは昨年
晩夏の様子
草や枝をくわえ戻ってきた男鳩が
かいがいしく巣を整える
整え終わると
女鳩にそっと寄り添って
頭をなでるようにして
また出掛ける様子を見てしまうと
意地の悪いことをしているなと
これは
『蜘蛛の糸』の逆になりかねん と
イヤな気になります
「ぼっぼー ぼぼー」
と 牧歌的な鳴き声を聞くと
余計に思いますね
ですが
松の木は今回初めて
松の木の下に門扉があって
ここを出入しておりますし
新聞の取口もここなのですね
しょっちゅうのことなので
私もやはり
あの羽音はおそろしい…
が
先日の私の大騒ぎに
さぞかしあの夫婦鳩もコリたであろう
もうどこかへ行ってしまっただろう
と
呑気に
今朝 玄関を開けると
大きな羽音をたて
急転回して飛び去る鳩
後ろ姿からも
長い枯草をくわえているのが見えました
おそるおそる
松の木の枝を下からすかしてみますと
やはり女鳩が静かに座っていました
小さな丸い目は
ぜったいに私と目を合わすまいと
正面を凝視したまま
身じろぎもしません
「申し訳ないのだけれど
どこかほかで暮らしてね
あんたも 毎朝
朝刊をとる音で落ち着かないでしょ?」
と 小声で頼みました
さて明朝はどうでしょう?
どこかへ引っ越してくれているといいのだけれど…
本にも
朗読にも
関係ないおはなし
ランキングに参加しております
どうぞよろしくお願いいたします
掲載記事はオリジナルです 無断でのご利用・転載はご遠慮ください